2019年2月17日日曜日

Superlux HD661

スーパーラックス HD661 (2013年発売)




構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:40mm
インピーダンス:68Ω
最大入力:200mW
再生周波数帯域:10〜20,000Hz
出力感度:102dB
重量:約190g
販売価格:約4,000円〜

HD661 Frequency Response
HD661 周波数特性(旧ダミーヘッド)


寸評:
ドンシャリ特性だが、明らかに高音過多でシャリ付きが非常に目立つ。一方の低音側は量感こそ乏しく感じられるものの意外に深くまで出せているので、チューニング次第では案外化けるのではないか。
構造がチープで装着性に難ありで、ヘッドバンドの調整が何一つ効かないウイングサポート型だが、サポートの角度が浅いためほぼ意味をなさず、大人の男性でさえ側圧のみで装着するような感覚。カラーバリエーション豊富なので女性や子供が飛びつきそうだが、装着性の難が尚更強まると思われとてもオススメできない。

Superlux HD681 EVO

スーパーラックス HD681 EVO (2013年発売)




構造:セミオープンエアー型
ドライバー:50mm
インピーダンス:32Ω
最大入力:300mW
再生周波数帯域:10〜30,000Hz
感度:98dB
重量:265g (コード含まず)
販売価格:約4,000円〜

HD681 EVO Frequency Response
HD681 EVO 周波数特性(旧ダミーヘッド)


寸評:
当機が先発だが、後発のKAWAI SH-7との比較として記す。
SH-7と全く同一仕様で、構造的にもほぼ同一パーツで構成されているようだが、イヤーパッドの質感や製造処理など細かい点での相違が見られる。
音質に関してもやはりSH-7との類似性が色濃く認められるが、低域のピークが高めでパンチが効く反面で深みがなくまとわりつきがちで高域にも若干トゲがあり、ドンシャリ傾向が目立つ。
いささか大味な作りで、装着感は締め付けがきつく圧迫感が大きい。
ケーブルが1mと3mの2種付属するのはありがたい。
白と黒の2色のカラーバリエーションがある。

2019年2月9日土曜日

RH-300のレシピ 〜粗悪クローンを本物に!?

RH-300とNW-3000[改)

調べてみるとRoland RH-300を模したコピー/クローン製品を出しているのはなんと十数ブランドにも登るようですが、現在知るところで国内で最も安価に手に入ると思われるのが、安価な撮影用サプライ製品メーカーとして知られるNEEWERのNW-3000。Amazonで3,000円足らずの格安で販売されています。

公称スペック上は本家を凌ぐ数字が堂々と刻まれておりますが、これは他のクローン製品に同じ記載があるようなのでそこから流用したものでしょう。実際の出音は価格相応とでも言いましょうか、高音域に伸びのない篭った音。下グラフが示すように右肩下がりがその原因ですが、そもそも左右ユニットのバランス差がパーツ選定の雑さを垣間見る部分でもありますね。やはり安物はそれなりということでしょうか。


[NEEWER NW-3000仕様]
ドライバー:45mm
インピーダンス:40Ω
最大入力:1,800mW
再生周波数帯域:10〜26,000Hz
出力感度:98dB

元々のNW-3000特性

基準規定のない記載スペックの内容にそもそも信憑性など望めるものではありませんし、量こそ乏しいものの高音域が出ていないとは言い切れないため詐称とまでは言いづらいですが、音質的な違いを考えるとこの公称スペックに納得いかない部分は大きいですね。

などと言いながらもこのNW-3000を入手してみた次第ですがw、その理由は二つありまして、まず一つが先日綴ったエージング効果の検証のため。そしてもう一つが改造を目論んでのものです。
実は外装が朽ちてもはや使い物にならないaudio-technica ATH-M50が手元にあったので、このドライバーの再生利用を企んだわけですが、この機種のOEMともささやかれ、バッフル周辺構造が同じRH-300のクローンなら容易に換装可能ではなかろうかと睨んだわけです。
もちろんNW-3000自体が真っ当なサウンドを醸してくれるならそれはそれで使用も考えてはいましたが、前述通りの残念すぎる出音なので早速換装作業開始です。

工作経緯の写真でも残しておけばよかったのですが、これを綴る予定もなかったので配線確認用に撮った写真のみでご勘弁を。

NW-3000のドライバー背面

ATH-M50のドライバー背面

【ドライバーの移植】

先ほども書いた通りこれら機種はバッフル構造が一緒なので、ドライバーユニット周辺のパーツ交換は容易で、プラスドライバーとハンダゴテがあれば2〜30分で済む作業です。

ATH-M50とRH-300のドライバーは同一のものとの噂もあったので、構造的にもコピー元となるRH-300に近い出音を期待していたのですが、結果はほぼ元のATH-M50にほど近い出音になりました。
よくよく調べてみればインピーダンスなどドライバースペックが異なる部分もあるので、コイルなどチューニングの違いがあるのかも知れません。またドライバーユニット背面処理にも違いが見られ、RH-300はNW-3000同様に薄いスポンジで覆われていますが、写真ではカバーで見えませんがATH-M50はよりフィルタリング効果が大きいであろうドーナツ状のフェルトで覆われており、その辺の違いが特性差として出ているのかも知れません。


M50ドライバーに換装したNW-3000特性

【イヤーパッド変更で微調整】

ATH-M50のややもたっとした低重心サウンドは個人的に好みではないため、RH-300に近い音に変わらないものかと最も手軽に音質変化が試せるイヤーパッドの交換を試みました。
トーンバランスの調整方法はいろいろとありますが、低域抜きに際して効果的な順に挙げてみますと以下の通り。


●合皮イヤーパッドなら音の抜けるベロア調のものへ変更する。
 高音域はそのままに、低音域が大きく削られます。

●ベースポート(ベント/ダクト/ハウジング背面に抜き穴)があればテープで塞ぐ。
 空気のバネ効果によりドライバーの振幅が抑制され、低域の音量が抑えられます。

●内口径の大きいイヤーパッドに変更する。
 低音部に絞った抑制に効果的。

●ドライバーユニットを覆うスクリーンがある場合は除去する。
 ユニットを覆うスクリーンは高音抑制効果があり、これを取り払うことでバランスが相殺され低域が減ります。ただし素材によって効果に差があり、メッシュや薄いスポンジではほとんど変化はありません。

●厚みのあるイヤーパッドへ変更する。
 これは中音域が弱まる効果があり、ドンシャリ傾向に進んで奥行き感が増します。



今回はもたつきの改善を試みたかったので5mmほど肉厚なパッドに変えて耳までの距離を稼いでみましたが、その結果が以下の通り。耳までの距離が離れることで中〜低域が微妙に抜け、RH-300そのものとは行かずとも低音域のスッキリとした明るめの出音に変わりました。


更に厚めのイヤーパッドに変えたNW-3000特性


と、一応これでひと段落しましたが、更なる目論見は続くのでした。。。