2022年9月21日水曜日

SHURE SRH840A

シュアー SRH840A (2022年発売)



構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:40mm
インピーダンス:40Ω
最大入力:500mW
再生周波数帯域:5〜25,000Hz
出力感度:97dB
重量:275g (コード含まず)
販売価格:約20,000円〜

frequency response
SRH840A 周波数特性(平面計測)

Frequency Response
SRH840A 周波数特性(旧ダミーヘッド)

寸評:
SRH840の更新モデルだが、ヘッドバンドの設計変更、改善とともにサウンド面も調整されている。
一聴して低域の増量が耳につくが、旧機は元よりシリーズ全般にクセの少ないニュートラルな出音傾向で平滑性の高いモニター機として定評があっただけに、ターゲット市場の路線変更を窺わせるこの濃い味な低音には意表を突かれる。
全体像は明瞭で太い低音に負けず解像するが、いささか大味なのでやはり低域は少し絞って使いたい。
ヘッドバンド構造は大幅に変更されており、合皮が傷みやすかった頭上パッドが丈夫な生地仕立てとなっているほか、折りたたみ機構が省かれかなり軽量化されている。またゴールドであしらわれながらもシックなデザインで質感が増す。
旧機の着脱式カールコードから、着脱式ストレートケーブル(3m)付属に変更されている。

AKG K702

アーカーゲー K702 (2010年発売)




構造:オープンエアー型
ドライバー:非公開
インピーダンス:62Ω
最大入力:200mW
再生周波数帯域:10〜39,800Hz
出力感度:105dB
重量:290g (コード含まず)
販売価格:約16,000円〜
frequency response
K702 周波数特性(平面計測)

Frequency Response
K702 周波数特性(旧ダミーヘッド)

寸評:
K701をベースに脱着式ケーブル仕様としたモデルで、前例となるクインシー・ジョーンズ コラボモデルQ701のケーブル周り構造を受け継ぐ。
Q701は僅かに異なるサウンド傾向が確認できるが、当機はK701より音響構造に変更がないためサウンドカラーを色濃く継承している。

ちなみにスペック上では重量が増されているが、実重量は3機種ともほぼ同じく290g以上で、イヤーパッドを省いても260gほど。


AKG Q701

アーカーゲー Q701 (2010年発売)




構造:セミオープンエアー型
ドライバー:非公開
インピーダンス:62Ω
最大入力:200mW
再生周波数帯域:10〜39,800Hz
出力感度:105dB
重量:235g (コード含まず)
販売価格:約22,000円〜
frequency response
Q701 周波数特性(平面計測)

Q701 周波数特性(旧ダミーヘッド)



寸評:
クインシー・ジョーンズ監修によるK701ベースのコラボモデル。
ケーブル脱着式としたほか、ハウジング開放部にエンブレムプレート追加といった構造の違いはあるが、公称スペックに変更はない。
出音はK701とは少し異なっているようで、若干ベースが抑えられつつ中高域が明瞭になっていることがわかる。直後に登場するK702ではこうした明確な音質変化が見られないことから、エンブレムプレートとその内部処理による効果が現れているものと思われる。


AKG K701

アーカーゲー K701 (2006年発売)




構造:オープンエアー型
ドライバー:非公開
インピーダンス:62Ω
最大入力:200mW
再生周波数帯域:10〜39,800Hz
出力感度:105dB
重量:235g (コード含まず)
販売価格:約16,000円〜
frequency response
K701 周波数特性(平面計測)

K701 周波数特性(旧ダミーヘッド)


寸評:
中高域の尖りに開放感も相まって一見かなりハイバイアス気味に鳴らす印象だが、中〜低域は過不足なくしっかりと鳴らせており、全体像はことのほかナチュラルで見通しは良い。
大ぶりな本体だが装着感は軽め。イヤーパッドは厚みに偏差(実寸で30mm/23mmほど)があるが、硬質で当たりが強いため疲れが気になる。
パッドの装着方向は諸説飛び交ってるが、薄い側を前方となるようにセットするのが正しいだろう。

2022年9月20日火曜日

audio-technica ATH-M50xBT

オーディオテクニカ ATH-M50xBT (2018年発売)




構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:45mm
インピーダンス:38Ω
最大入力:
再生周波数帯域:15〜28,000Hz
感度:99dB
重量:310g
市場価格:約21,000円〜
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC、aptX
連続再生時間:約40時間

frequency response
ATH-M50xBT 周波数特性 [ワイヤード](平面計測)

ATH-M50xBT 周波数特性 (旧ダミーヘッド)

寸評:
世界的定番スタジオモニターも三代目にしてワイヤレス化という暴挙に出たことに驚きだが、これは制作現場の音を日常的に持ち歩けることを狙ったモバイル向けの製品で、言わばM50の殻を被ったリスニング用デバイス。もちろん遅延のないケーブル接続ならモニタリングにも使えるが、専用ケーブルは1.2mと短く制作現場では使いづらい。
サウンドはややチューニングが施され明確なドンシャリに進んでいるが、ベースが強まるも程よく中域が抜けてタイトに締まり、音場豊かでメリハリの効いたまさにリスニング寄りの聴き心地となっている。
ヘッドバンドのアーチが緩められ、側圧が緩和されている。(これ以降M50xにも反映されている。)
プラグ部の外径が6mm以下のステレオミニケーブルで代用可能なので長いものが欲しければ探してみると良い。


audio-technica ATH-M50x

オーディオテクニカ ATH-M50x (2014年発売)




構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:45mm CCAW
インピーダンス:38Ω
最大入力:1,600mW
再生周波数帯域:15〜28,000Hz
感度:99dB
重量:285g
市場価格:約18,000円〜

frequency response
ATH-M50x 周波数特性(平面計測)

ATH-M50x 周波数特性(旧ダミーヘッド)

寸評:
ある調査によれば、近年世界で最も人気のスタジオモニターヘッドフォンというのがこのM50x。初代M50のスペックをそのままに、ケーブル脱着式構造とした次世代モデル。(現行製品はM50xBTBT2と同じアーチが緩いヘッドバンドに変更されている。)
もちろん初代のサウンドを継承するが、構造変更に伴う変化を指摘する向きもある。
着脱式ケーブルは2.5mm 3極ブラグのバヨネットロック式で、ゼンハイザー用のものも流用可能。

2022年9月17日土曜日

JVC HA-MX100V

JVC HA-MX100V (2020年発売)




構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:非公開
インピーダンス:56Ω
最大入力:1,500mW
再生周波数帯域:10〜40,000Hz
出力感度:107dB
重量:265g (コード含まず)
販売価格:約21,000円〜
HA-MX100 周波数特性(平面計測)

Frequency Response
HA-MX100 周波数特性(旧ダミーヘッド)

寸評:
プロ用スタジオモニターHA-MX100-Z(2016年発売)を一般向けに販売形態を変更したもの。基本仕様はそのままにステレオミニプラグ仕様になっているほか、ハウジング背面を黒塗りとしてニッパー君が刻印されている。
出音から外観構造に至るまでHA-MX10を色濃く継承するが、ハイレゾ仕様にチューンナップされているほか、高域のシャリ付きが緩和されている。

2022年9月14日水曜日

SHURE SRH940

シュアー SRH940 (2011年発売)




構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:40mm
インピーダンス:42Ω
最大入力:1,000mW
再生周波数帯域:5〜30,000Hz
出力感度:100dB
重量:322g (コード含まず)
販売価格:約16,000円〜
frequency response
SRH940 周波数特性(平面計測)

SRH940 周波数特性(旧ダミーヘッド)

寸評:

同社密閉型モニター後発のシリーズ最上位となるが、全域通じて均整の取れたニュートラルなサウンドはさらに磨きがかかり、隅々まで満遍なく見通しの良い実にナチュラルな出音を醸す。

ヘッドバンドがワイドになったが重量級のSRH840から50gほど軽量化。またベロア調イヤーパッドにより装着感はかなり良くなった。ただ構造的な脆弱性は相変わらず。
ケーブルはストレート(2m)、カール(3m)の2種付き、交換用イヤーパッド、ハードケースなども付属。

audio-technica ATH-MSR7b

オーディオテクニカ ATH-MSR7b (2018年発売)




構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:45mm
インピーダンス:36Ω
最大入力:2,000mW
再生周波数帯域:5〜50,000Hz
出力感度:101dB
重量:約237g (コード含まず)
販売価格:約16,000円〜
frequency response
ATH-MSR7b 周波数特性(平面計測)

Frequency Response
ATH-MSR7b 周波数特性(旧ダミーヘッド)

寸評:
ATH-MSR7の改良進化モデル。
中〜高域の鳴らし方はほぼ忠実に継承しているが、低域のパンチ力が増してベースが少し際立つ傾向となり、音場もやや広めに映す。

4極バランス対応の両出しケーブルで高級機っぽくなったが取り回しは少々不便。もちろん通常の3極プラグケーブルも付属する。
側圧力の緩和と軽量化により装着性はかなり改善している。

Philips Fidelio X2HR

フィリップス フィデリオ X2HR (2015年発売※)



構造:オープンエアー型
ドライバー:50mm
インピーダンス:30Ω
最大入力:500mW
再生周波数帯域:5〜40,000Hz
出力感度:100dB
重量:380g (コード含まず)
販売価格:約20,000円〜

Frequency Response
Fidelio X2HR 周波数特性(旧ダミーヘッド)

寸評:
分厚い低音が際立つ低域荷重の大味なドンシャリサウンド。高域はスッキリと鳴らすが、中高域が薄いため音場演出が過剰でメインパートが奥まって聴こえる。
大柄なボディにメーカーの特徴のメタルメッシュでリアルに重厚感を醸す上にパッドも硬めで、長時間のリスニングにはやや不向きな印象も。

※発売当初の機種名称は「X2」。価格改正に伴いハイレゾ仕様を強調した「X2HR」と名称変更。

2022年8月3日水曜日

AKG K361

アーカーゲー K361 (2019年発売)




構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:50mm
インピーダンス:32Ω
最大入力:非公開
再生周波数帯域:15〜28,000Hz
出力感度:99dB
重量:220g (コード含まず)
販売価格:約10,000円〜
frequency response
K361 周波数特性(平面計測)

Frequency Response
K361 周波数特性(旧ダミーヘッド)



寸評:
全体的にややマイルドな鳴らし方で、兄貴分K371に比べると少し中太なボテッとした印象で繊細さでは見劣るが、やはりクセの少ない出音ではある。

K371と見た目にもほぼ同じ構造だが、ドライバーユニットが廉価でアーム部はモロにプラ仕様。
ケーブルの脱着は3.5mmミニプラグのバヨネット式。やはり接続位置が低い上に柄が長くて邪魔くさい。


2020年、Bluetooth搭載モデル(K361-BT)も登場。


AKG K371

アーカーゲー K371 (2019年発売)




構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:50mm
インピーダンス:32Ω
最大入力:非公開
再生周波数帯域:5〜40,000Hz
出力感度:114dB
重量:255g (コード含まず)
販売価格:約16,000円〜

frequency response
K371 周波数特性(平面計測)

Frequency Response
K371 周波数特性(旧ダミーヘッド)


寸評:
中高域特性の関係からかヴォーカルなどがやや奥まって聴こえる節があるが、ニュートラルに整った特性を示す通り概ねナチュラルな鳴らし方。隅々まで解像感に優れた濁りのないサウンドで、オールマイティに使えそう。

ミニキャノン着脱式ケーブルだが、接続位置が低い上に柄が長く、肩に当たりがちなのが玉に瑕。また折りたたみ式のヘッドアームはあまり大きく開きすぎると破損につながるとの注意喚起あり。
近年のAKGらしい超ソフトなイヤーパッドに側圧も標準的で、装着疲れは少ない。


2020年、UHQ対応のBluetooth搭載モデル(K371-BT)が登場している。ただし遅延があるためモニター用途にはやはりケーブルで。

SONY MDR-M1ST

ソニー MDR-M1ST (2019年発売)



構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:40mm
インピーダンス:24Ω
最大入力:1,500mW
再生周波数帯域:5〜80,000Hz
出力感度:103dB
重量:約215g (コード含まず)
販売価格:約29,000円〜
Frequency Response
MDR-M1ST 周波数特性(平面計測)

Frequency Response
MDR-M1ST 周波数特性(旧ダミーヘッド)



寸評:
長年国内定番モニターとして君臨するMDR-CD900ST直系の更新モデル。
伝統の40mm径ドライバーユニットはハイレゾ化と共に平滑な特性にチューンナップされ、さぞナチュラルな出音に変貌したことだろうと期待させられるが、実際に耳に届くのは想像以上にソフト...と言うよりも何か変に尻上がりなバランスで中〜中低域が際立った見通しの悪いスモーキーなサウンドが響いてくる。

側圧は弱めも十分な強さ。一般的なものよりやや薄めのイヤーパッドは上質でしっかりとホールドされる。
標準プラグ仕様の2.5m着脱式ケーブルは独特なスクリューナット式でガッチリと固定される。
保証のない業務用製品で、各種リペアパーツが用意されている。

SONY MDR-7506

ソニーMDR-7506 (1991年発売)




構造:密閉ダイナミック型
ドライバー:40mm
インピーダンス:63Ω
最大入力:1,000mW
再生周波数帯域:10〜20,000Hz
出力感度:106dB
重量:230g (コード含まず)
市場価格:約12,000円〜

frequency response
MDR-7506 周波数特性(平面計測)

Frequency Response
MDR-7506 周波数特性(旧ダミーヘッド)

寸評:
俗に「青帯」と呼ばれるロングセラー機。海外では定番モニターの一つとなっているが、スッキリバランスのドンシャリで着色豊かなモダンな出音はモニター機らしくない。
高域が強めで差し込みがあるがシャリ付きはMDR-CD900STほどしつこくない。また古い設計ながらに低域は深くまでワイドに鳴らす点は優秀。

ヘッドバンドはCD900STよりもやや長く綺麗な丸みのビーム構造からホールド性は良い。ただフニャフニャな折りたたみ機構は余計か。
チープなイヤーパッドはCD900STのものより1.5倍ほど肉厚で硬め。この仕様の質感そっくりな互換品が流通しまくっているので、傷んだらそれでも事足りるか?
変換付きミニプラグ、カールコード仕様。


パッケージ入りの本物そっくりな偽造品が違法に出回っているので要注意。
横行を防ぐためにも販売を見かけても絶対買わないこと!!!